香港の将来-1

イギリスから中国に返還されても返還前の状況が維持されると約束されていたはずの香港ですが、 冷静に現実を見ると昨年のデモ活動から市民の思惑とは逆に一気に中国化が進んだと思います。この20年ぐらい前は地方から沿岸部に出稼ぎに来る安い労働力を武器に工業団地を作っては 韓国や台湾や日本から工場を誘致して世界の工場となって経済力をつけると同時に沿岸部の消費力も向上して、香港ドル人民元の換算レートも逆転してしまい、世界から中国への窓口的な機能を持っていたはずの香港も中国が資本主義のやり方になれるとともに人材や物流も香港を介すこと無く深センに行くことが増えてしまいました。以前は香港の日系デパートでは日本人が香港でブランドを大人買いしていたものですが、今は中国本土の観光客が裕福な層はブランドを爆買して、そうでない層は転売のために本土と香港で価格差があるものや信用度の差が大きいものを爆買しています。もっとも日系デパートは名前だけは残っていますが、実際は日本の資本は大丸デパートや伊勢丹が撤退したようにSOGOも香港資本に買われました。八百伴はなくなりましたが。。。私に身近な建設業界も30年前は日本のスーパーGCさん達が香港に犇めいていましたが、今は土木関係の日系の会社は残っていますが、100階以上の超高層ビルも中国の建設会社がやる時代になりました。デベロッパーも最近は香港系より中国系の方が元気で工事中でも物件ごと香港系のデベロッパーから中国系のデベロッパー買われることもあります。設備業界も同じで先ずは消火設備や電気設備は国ごとの法律が異なることも影響して20年ぐらい前から日系の会社は撤退し始めました。比較的竣工後に手間がかかる空調工事に日系は2~3社が残っているのみで後は地元それも香港系の会社から中国系の会社に変わりつつあります。現在 香港は世界的にも高額な不動産の価値と自由な金融の機能でかろうじて中国本土との差別化を図っている状態ですが、香港に隣接する深センや上海、北京の不動産価格も高くなっていてもう不動産では差別化は図れない時代になりました。こう考えると香港は金融のみが中国と世界をつなぐ窓口的な機能でポジションを保っていると思います。今後 電子マネーの時代になるとこの機能も価値が低くなってくるのは目に見えているので香港でも経営環境が今後 どう変わっていくのか?  今の新型コロナウイルスがいつ?収束するのか?その後のデモ活動は?今年の香港から目が離せない状況です。